実験や検証を中心に置くゴッドの論理的な思想。冒険や体験を中心に置くベラの両親の感覚的な思想。両要素をミックスして目覚ましい成長を遂げるベラ。
絵画的な美しい「世界」を渡り歩くベラ。
それは"国"としての意味ではなく、環境/状況/背景/視点などを包括した「世界」
風刺画や抽象画のように、「人間/世界とは?」が表現され、一枚絵に収められた箱庭のような「世界」を様々に経験して、その時自分が何を思うか。実験・体験して成長していく。
私が映画を観る理由でもある、物語を通して様々な場面に擬似的に遭遇する中で、自分がどう思うのか、どんな感情を抱くのかを知りたい感覚に近い気がした。
脳が幼いあまり、欲望や快楽を優先してしまう動物的なベラから、思想/言葉/哲学を得て、言語化/論理化していくベラ。
その成長の過程がとても面白かったし魅力的だった。
今の自分の人生を、体はそのままで、脳だけ赤ちゃんになって経験したらどう思うだろうか。
自分より"馬鹿"であることを女性に求め、所有したい有害な男性性。
映像があまりにも綺麗で、音楽があまりにも美しくて、いつまでも余韻が残る不思議な映画だった。
コメディセンスも素晴らしかった。