とぅとぅとぅ

哀れなるものたちのとぅとぅとぅのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
この世界の縮図なのかな。やっぱり長い物には巻かれてしまうのかな。

全てにおいて、“経験が力”っていう気がして。

無経験は、周りの人を動かすこと、がいとも簡単にできて、周りは“仕方がない”と妥協して。まさに“赤様”で。

でも、スラムとか、みんなが辛い世界では、そんな“赤様”も無力で。

様々な経験を持つものは、船の仕組みも知ってるし、抵抗する女が好きな男がいることも知ってる。

でも、1人の者が経験できることも、老いには逆らえなくて、上限があって。

そんな様々な経験を持つものは、中途半端な経験しか持たない“子”を好んで。

性もそうだし、世界の善悪もそうだし、本も、人のいざこざも……様々な経験を、1人1人の、その人なりの経験を通して、その“子”を育んで。

それが連鎖していくことが、“人の向上”っていうことなのかな。

ただ、そうやって、世界の悪を人の向上で、改善していく動きは、必ずしも善に繋がっていくことはなくて。

その動きの途中で、自分が育んだ“子”が、自分を必要としなくなったり、誰かの善意をネコババしたり、そういう人は必ずいて。

どこかが錆びついた鎖の先頭の者は、自分を苦しめた者にその錆を擦り付ける。

それが、世界の縮図。

この映画を、笑って観れる日は、“人の向上”をみて、自分が世界の縮図に、長い物に巻かれて、1人で死んでいく、その直前なのかも。

素晴らしいとか、すてきとか、最高とか、そんな言葉で表せないんだけど、それ以外の言葉では、この映画のすばらしさを無理にでも語れないので、最後にひとこと。

最っっっっっ高に素晴らしくて、ちょーーーーーーすてきな映画体験でした!!!