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哀れなるものたちのますのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

いい意味ですごく変でユーモアと思想たっぷりな映画だった!最近のアカデミー賞受賞作はエブエブといい変なのばっかりで楽しいな〜!

この作品、ガッツリした思想を芯に寓話仕立てのSFにしているので一見アカデミックな感じがするものの、話の建て付けとしては(ものすごく荒っぽく言うと)俺つえー系なので、中盤くらいからのベラ無双でどんどん楽しくなっていく。
無知であるがゆえに閉じ込められ奪われているように見えていたベラが、無知であるがゆえに(また根底に冒険心、科学的思考、慈愛の心をもらったがために)常識を打ち破り、冒険と共にグングン知恵を吸収して強く(また時に悲しみを知って弱く優しく)なっていく。その成長と進歩を見るのがとても楽しい。

全編通して、ベラのセックスをただただ「ベラ本人のもの」として描いてるのがよかったな。ベラ自身が気持ちよくなりたいからダンカンと寝て、ベラ自身がお金を稼ぎたいから客と寝る。ベラにとってセックスとはそれ以上でも以下でもない。当然そこに尊厳が失われるとか、奪われた・汚れたなどという妙な考えも介入しない。(それがわからず許せないのは哀れなるもの達だけである。)

個人的に好きなシーンは、ハリー(内面がすごく好きなタイプだった)との別れのシーンと「ババアを海に投げ入れてやる!」「見たい見たい!」のシーン、娼館で労働環境向上のため頑張るシーンだった。臭いと嫌だよね、わかる。

あと、父の最期の演技にとても驚いた…!!「死ぬ」演技はいままで何回も見たことがあるけれど、ぶっちぎりで上手い、というか本当の死に近い。ああいう蝋人形っぽい質感になるんだよな。あのシーンを見るためにもう一回見たいくらいだ。

しかし、ラストはあそこまでパンチある英国ブラックジョークをかますとは思わなかったぞ!将軍〜!!!!
(進歩はいいもんだけど、やりすぎんなよ!ってこと…?)
ます

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