アンソニー

哀れなるものたちのアンソニーのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

最高でした。
自分はこういう系の話が大好きなので
めちゃくちゃ楽しめました。
程よいフィクションとリアルな内面、
良かったです。

ベラが精神的に成熟していく過程が
本当に良かった。
素直で無邪気な純粋さを持った
子供の精神と大人の肉体。
最初は偏った知識から
とんでもなく尖った変人になってます。
社会の常識に囚われない行動に
ワクワクするしスッキリもする。
ただそれだけで終わらないのが素敵でした。
賢くなればなるほど
自分の生きている世界の実態が
明らかになっていきます。
自分はこんなにも煌びやかな生活を
過ごしているのに
その日の食べ物を得るのできない人々が
いる事を知って
己の無力さや世の不条理を体感する。
社会的な立場が弱い娼婦になったり
極端な亭主関白な家庭で
虐げられる事や人間の醜さなども理解して
一人の人間になっていく。

好きなものをたくさん摂取して
嫌いなものは吐き出して
セックスしたいならして
そんな本能的に生きるのは
誰しもが憧れるものかもしれません。
しかし自由というのは
己で選択をするという事、
本能に従うのではなく本能を従える。
自分の人生を自分のものにする。
ベラの生き様や周りの人たちから
そういうメッセージが
感じられました。

最終的に昔の自分が死ぬきっかけになった
(生まれた元凶ともいえるかも)男との
遺恨の鎖を断ち切る事で
自分というものを確立させて終わる。
大胆でサイコでぶっ飛んでますが
この作品らしいオチかもしれません。

人間の人生をギュッと圧縮したような
刺激的な冒険をするベラが
とても素敵で目が離せませんでした。
久しぶりにパンフレットを買いました。