コーディー

哀れなるものたちのコーディーのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
モノクロの籠から熱烈ジャンプで羽ばたくベラの旅路。
傲慢な男性性に縛られながらも欲望に身を委ね、その奔放さで辿り着く成熟した世界。奇行と性交の果てで知見を広げ本物の自由、そして愛を悟る様子を心と体と魂で表現するエマ・ストーンの、何にも物怖じしない進化に胸が熱くなる…凄い映画だ!

自身では何も制御できないベラの無邪気さを慈しみながらも、侮っている男たち。
そんな役割を強いられる哀れな女性の姿に不快感を抱きながらも、気付きと選択肢を得て色を纏っていく様子に胸のすく程の快感を覚えた!
そして特にダンカンの存在がベラの進化を加速させる皮肉な役割を担ってるのも面白い。
導くはずが神にはなれず、欲望と慣習の狭間で醜態を晒す…マーク・ラファロの病的な演技がエマに匹敵するぐらい良かったです。

監督の過去作に比べると難解さはなく毒も控えめやけど、映像や音楽、何よりベラの心と体に至るまで徹底的に歪みやチグハグを植え付けてくるのでバランス感覚を奪われるw
けれどそんな物語の中心で鮮烈な生命力を宿すエマのおかげか、『籠の中の乙女』のような不健全さをほとんど感じなかったし、光を捉えるヨルゴス監督の進化も感じた!