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哀れなるものたちのペインのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
最も間口の広がったランティモス監督作。

セックスシーンこそ多々あれ、実は非常に細かいレベルでの配慮が行き届いており、実はR18ってほどでもないような、総体としてはファッショナブルで口当たりの良い女性映画に仕上がっている。

「籠の中の乙女」や「ロブスター」辺りが苦手な人はやはり完全にこっち派だと思われる。私は「哀れなるものたち」観賞後に「女王陛下のお気に入り」を観て、公開当時気づかなかったその明快さとエッジィの絶妙なバランス感に驚かされたりした次第(※「聖なる鹿殺し」「ロブスター」も見返してみるかな🤔)。

“私の好きなエマ・ストーン”という個人的な偏愛枠を述べるならば、「Easy A」「ラブ・アゲイン」「スーパーバッド」辺りのラブコメ映画でのコメディエンヌっぷりなのだが、「ラ・ラ・ランド」以降のランティモス作品に繋がる“アカデミックな女優感”からも目は離せない。その意味で今回の『哀れなるものたち』でのエマは、アカデミックなエマの総決算的アクトで、オスカー主演女優賞は妥当とも言えるが、ただ「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンという最強の宿敵がいるので難しいか…。

それより私はマッドなウィレム・デフォーにオスカーノミネートさせるべきではないかと思った。(冒頭のモノクロシーンは「ライトハウス」が散らついて仕方なかった🤣)

といったわけで、監督も参照している
ドイツ表現主義の一連の作品や、ルイス・ブニュエル、フェデリコ・フェリーニ、ピーター・グリーナウェイ等の奇才たちのエッセンスを薄く抽出し、ポップにファッショナブルに仕上げたような幕の内弁当的映画に思えた。

あと指摘している人は1人しか見かけなかったけれど、アリ・アスターがソダーバーグ監督ベストに挙げているTVシリーズ『The Knick』(U-NEXTで配信中)を思わせる雰囲気が意外とある。ちょいグロテスクな19世紀辺りの医療技術の写し出され方とか👨‍⚕️👩‍⚕️
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