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哀れなるものたちのフクロウのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
赤ちゃんには倫理は効かん!低次の欲求のままに行動し、社会的儀礼の欺瞞を次々と暴いていくが、次第に賢くなっていく。自慰の快楽から始まりセックスの快楽、読書の快楽、そして売春による経済的自律と社会改革運動。女が男に支配従属させられない為の鍵は、沢山の男と関係を持つことに象徴されるのかもしれず、男が沢山の女と関係を持てば「男の甲斐性」「勲章」になる一方、女が沢山の男と関係を持てば「ビッチ」「アバズレ」になる社会倫理のダブルスタンダードを見事に抉る。DVモラ男の軍人爵位持ちの、ベラの自殺原因を作り、クリトリスの切除まで企てる元夫が、羊(草食獣)の脳を移植され「哀れなるものたち」一味として暮らしてるラストもよかった。ただ、たとえば去年の『Barbie』ほどには先鋭的ではなく、おそらく設定の時代背景もあり今では陳腐なフェミニズム(第一派以前)提示であり、そしてベラの生き方はそのまま、法学部生お馴染みの、しかしあまり読まれない名著・D.H.ロレンス『チャタレー夫人の恋人』の主人公・コンスタンスの示した自由な生き方と被ってくる。逆に言うと『チャタレー夫人の恋人』からほとんど前進してないといえる。その意味であまり評価はできない。『小林さんたのメイドラゴン』のイルルっぽさがある。性的立ち居振る舞いに無頓着で、イルルがタケに注意されて「ああそうか恥じらいか」となってたアレ。
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