随所でかかる劇伴がすごい良い。不規則かつゆったりとしたリズムは自然の有機性を思い浮かぶ。しかし同時に無機的な響きもする。OSTが出たら欲しい。
基本的に19世紀のような時代設定なのにSF的なテクノロジーが違和感なくミックスされている世界観が面白い。あえて形容すると「メルヘンなスチームパンク」だろうか。
全編通じて思ったのは手塚治虫的な話だなあということ。
特にエマ・ストーンの少女と大人の中間的な裸体も手塚治虫の漫画に出てくるミューズにそっくりである。
お茶の水博士的なマッドサイエンティストによって蘇生したエマ・ストーンが、弁護士のダンカンと駆け落ちする形で世界をめぐり(時に地獄めぐり)、売春婦まで身分を落とす。(すみません、あえて落とすと書きます。)
白痴的な人物が成長し、哲学的な問いにぶち当たる感じも本当に手塚治虫タッチだなあと思った。
精神と身体どちらによってその人自身の同一性が担保されるのかという問いも出てきた気がするが、そのあたりは最後ヌルッと終わった印象。(単純に自分が受け取れていないだけかもしれない。)
日本人は幼い頃に手塚治虫を読む人が多いので、無意識的にこの映画が好きになるんじゃなかろうか。
完全に消化しきれなかったため、他の人の感想とか意見が知りたくなる。生まれて初めて観た感じなのにどこか懐かしくなる不思議な映画だった。