Akinorider

哀れなるものたちのAkinoriderのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8
「父について考える」
基本的には女性の解放についての映画であると思う。といってもランティモス監督なので、そこは堅苦しいとこが全くない、グロさ、エロス、R18無修正で悪趣味全開の映画である。スチームパンクを採用したSF映画でもあり、ロケではなくセットでこれでもかと作り込まれた世界観を提示したこの美術だけでも観る価値がある。

簡単にあらすじをいうと、マッドサイエンティストにより、「身体は大人、頭脳は子ども」の逆コナン君状態として誕生?した主人公ベラが成長していく過程で、自らの肉体を知り、セックスを知り、世界を旅して知識を得て、様々なひとと関わることでやがて自分自身と向き合い本当の幸せとは何かを見つけていくという話だ。
優れたフェミニズム映画の系譜にあり、セルフラブ、リプロダクティブ・ライツ、シスターフッド、それらの重要な要素が当たり前にしかし痛快に面白く描かれていくのはバービーに近いところがあると思う。バービーより優れているのはともすれば男性vs女性になりがちなこの種の映画を、1人の人間の成長を、未熟なところも含めて描くことで、ビルディングスロマンに仕上げているところだと思う。

本題に入ろう。とても女性をエンパワーする映画であると同時に男である僕が観ながら感じていたのは、これは「父性」についての映画だと。
この映画には様々な男性が登場するが、「男性性」というより「父性」だと感じた理由はベラが成長していく存在だからだろう。
この映画においてベラには大きく3人の「父」がいると思う。1人目の「父」はゴッドウィン。文字通りのゴッド、ベラの創造主である。2人目はフィアンセであるマックス。3人目はそのマックスからベラを奪って駆け落ちするダンカン。

あとで追記します
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