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哀れなるものたちのtakehiのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

人って我慢したり、常識に縛られて生活しているんだけど、本作のヒロインは自身の胎児の脳を埋め込まれた大人の肉体を持つ人造女性なのです。 なので欲望や好奇心の赴くまま、いわゆる女らしくとか、タブーとか、マナーとか関係なくて奔放に生活します。 
そんな彼女の創造主のマッドサイエンシストのゴットは彼女を育て、お家の中に閉じ込め庇護します。
時が過ぎ成長した彼女は外の世界への好奇心を抑えることができず、婚約者がいるにもかかわらず遊び人の弁護士バーンズと旅立ちます(でも駆け落ちではないのだよね)
18禁なダークファンタジー、アダルトでブラックジョークが強烈で絵本のような映画です。

ヒロインは様々な事象に対して純粋に幼児のごとく感じたまま行動をしていきます。。性欲食欲飲酒、欲望のまま溺れたりしますが、それだけで無く知的好奇心も旺盛です、哲学に興味を持ったり沢山の赤ちゃん達の不公平な死に対して非常にショックを受け感情的になったりもします。
文無しになれば抵抗無く娼婦になり経済活動をも身を持って学びます。
彼女の成長、喜怒哀楽を観客は一緒になって体験してゆくのです。。そこで世の不条理や社会問題が提起されているのでしょう。
レビューを書くにあたって色々考えたりもしますが、私には受け止めきれなくて、、
広角レンズを多用した凝った撮影、CGによる美しく独創的な風景、ヒロインが召しるドレスの素敵さ等々見所盛り沢山ありますが結局はプロデューサーでもあるエマ・ストーンの過激に体を張った晒しまくった演技とマッドサイエンシストのウィレム・ディフォー(最高!)と娼婦館の元締めのお婆さんのキャラの魅力が映画を引っ張った気がします。

全体的に退屈することはないのですが、勝手ながら物語に思い入れしたり共感は少なめ、けっこう上映時間が長く感じてしまったのが正直なところですm(_ _)m
感動のピークは終盤紆余曲折を経て、ヒロインが死が間近な病身のゴットに向かって医者になると宣言したところでしょう(どれだけその言葉がゴットにとって嬉しかったでしょう!!)
そしてラストの知性溢れるクールな表情のエマ・ストーンのカッコ良さに新しきカリスマの誕生を感じました。

セックスのシーンが多いガチな18禁映画(でもあまりセクシーでは、、、)ながら、お金をかけたアートなヒューマンドラマというなかなかお目にかからない映画ではないでしょうか、さすがアカデミー賞に沢山ノミネートされる作品だけに大変見応えある刺激的な作品でありました。(了)
※yahoo映画同時投稿
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