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哀れなるものたちのchinsukoのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
興味を引くプロモーションと、目を引く絵作り、ストーリーの妙が嚙み合う、監督のお家芸的な作品

『ロブスター』でもそうだったが、公開前に設定をある程度公開し興味を引かせるのが実に上手い。本作は本編も非常に良く、眼に刺激的で、興味深いストーリーに釘付けとなった。

主人公ベラの生誕から奇行の数々、言語習得能力の高さ、そして性への目覚めと、人間の欲望・渇望を凄い速さで学んでいく。
特に性に関しては、自慰を覚えた猿のごとく貪欲になっていく。

ダンカンに連れられて各国を廻るベラ、フランスで覚醒したかのような行動に出る。このエピソードは格別に興味深かった。

最後はある種のカタルシスを覚える程の納得の展開で、鑑賞後感の余韻も相当なものだった。

製作も務めるエマ・ストーンの演技たるや、キャリアの中でも屈指のものだったのではないか。

ヨルゴス・ランティモス監督の過去作も見直したくなる程の出来であった。
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