Monisan

哀れなるものたちのMonisanのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

観た。
再開、1本目。

ヨルゴス・ランティモス、やっぱりこの監督はあまり好きじゃない。相変わらず動物に対する敬意が無いというか、残酷に扱う表現するし。鶏イヌとか。生命そのものに対しても、悪意があるように感じるし、シニカルで苦手。

でも、この映画面白かったな…
突き抜けてる。発達障害の女性の話かと思いきや、まさか死んだ妊婦に胎児の脳を移植するとか、よくこんな吐き気のする設定考えられるな。
ベラの成長過程が実に興味深くて、それを演じているエマ・ストーンが凄まじいし。あれだけの絡み、突かれっぷりも含めて彼女には敬服。
自慰行為を覚え、婚約者マックスの懸念通りに駆け落ちの道中でダンカンとSEXに嵌り。老婦人らと知り合い、今度は知識欲を満たしていき、スラム街を見て社会の不平等に涙する。髪の長さと共に、メキメキと成長していく姿は見応えある。ダンカンには淫乱な白痴としか見えていなかったから、そりゃついていけないよね。

娼婦も実験的に体験してみる、最初は冒険って言ってたのに。その辺の細かな変化も面白い。あんなに沢山、客との様々なプレー描く必要あるのかな、ありそうだな…

ゴッドの死が迫り、ようやく帰ってくる。マックスとの結婚の確認をする会話が微笑ましい、すっかり精神年齢的にも上回ってきたベラ。マックスはおどおどするしか。
そこからの結婚式、ドーピングしまくりのゴッドも立ち合い、なんだかハッピーエンドかと意外だった。
けど、まぁやっぱりそんな事はなく…途中で昔の本名呼ばれてたもんね。元旦那登場で最後の冒険へ。
まぁクソみたいなサディストで、それが自死を選んだ理由だともわかり、自宅へ連れて帰り手術へと。
最後は実に監督らしい、ヤギ人間や仲間たちとお庭で楽しそうに。意味深な表情で終わる。
エンドロールもお洒落で格好良いんだけど、人の名前がデザインされ過ぎてて読めない。この辺りも監督、性格悪いんじゃないかと勘繰ってしまう。

ゴッド役のウィレム・デフォー、良かったな。マッドサイエンティストではあるんだけど、慈愛がある表情。特殊メイクも良い。
あとは舞台というか美術が素晴らしい。近未来でもなく、過去でもなく。マルチバースのロンドン、リスボン、パリ、船旅という感じで少しずつ奇妙で、デザインされてて美しい。

141分、ずっと気になり続ける映画。

原作があるのか。
ヨルゴス・ランティモス、監督。
Monisan

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