ひのらんげ

哀れなるものたちのひのらんげのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
2.5
観てるこっちも文字通り「脳みそぐちゃぐちゃ」

外科医でありマッドサイエンティストである「ゴッド」は、ある日、身投げして意識不明の妊婦を川べりで発見。帝王切開で子供を取り出し、更に子供から脳を取り出し、それをその母親に移植(!)し、「ベラ」と名付け、研究の対象として軟禁生活を始めた。

母親の体で脳は子供のベラは、子供の振る舞いで大暴れし、お漏らし、子供の好奇心であらゆるものに興味をしめし、手に負えない。

ベラはたちまち、みるみる言葉を学習し、性的な快楽にも目覚め、いよいよ興味の先は”外の世界”へ。駆け落ち宣言(笑)をしてから、翌日、ゴッドの静止を振り切り、色男「ダンカン」と旅に出る。

外の世界で、ベラはものすごいスピードで社会を知る。数年後、危篤の知らせでゴッドの元に帰る。

脳移植の事実を知ったベラは、自らの身投げの原因を知り、そして、、、。

Poor Thingsは誰だ。

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美しい女性の大人であってまるで幼い子供の振る舞いに、おじさんたちは皆メロメロになって囲い込もうとする。支配欲を抑えきれず、勝手にイライラする。裏切られるパトロンは、まったくもって哀れ。

人を所有なんてできない。していると思ったら必ず足元をすくわれる。これはこの映画の中でも常とされていて、その点については妙にリアルに感じました。そりゃそうだろう。会社でのヒューマンマネジメントに悩む人は観ておいたほうがいいかも。だいたいの人は自分より優秀だから。

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ベラの好奇心がどんどん文化的になっていき、性欲旺盛の猿時代(笑)からついには周りを知的に追い越していく。社会主義的な思想強めの時代を経て、いままで操る側にいた人や世間、あらゆるすべてが滑稽に見えてくる。ベラも皮肉に哀れ。

脳移植の事実を知ったベラが、再帰的に自分を把握したときの気持ちは、慮ることすらできない。自分であって自分でなく、そして自分である。所有者は誰だ。
ベラにはちょっと同情してしまいました。

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気持ち悪いあの不協和音は何に向けているのか。
気持ち悪い映画であることは誰が観たって間違いないですから、音はちょっとだけ盛りすぎたかな、と思いました。

あと、特に前半の説明的なベラの動きが気になりはしましたが、エマ・ストーン怪演です。拍手。(順撮りであったことを祈ります)

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明るいカラーのドン引きラスト、まあ控えめに言って「気持ち悪い変態映画」。
だいたい、みんな哀れ。
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