ごい

哀れなるものたちのごいのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
グランドシネマサンシャインとホワイトシネクイントにて、2回鑑賞。
大規模シネコンよりもミニシアターの方がみんなで笑ったりできて楽しかった

予告編観た時からずっと楽しみにしていたから本当に劇場で観られてよかったー

ヨルゴス・ランティモス作品の中でも相当な傑作だった気がする。
監督の作風もさることながら、プロデューサーに名を連ねたエマ・ストーンの手腕も相当なものなのかも...

主人公のベラは、とある事情から社会的な制約に縛られない状態にあり、真っ直ぐに自由と欲望、自己実現を探求する。それらを制御する封建的社会、父権制、男性性に対して、ストレートに疑問を呈する。彼女の心が幼児期である序盤は突拍子もない展開にも感じるが、物語が進むに連れて彼女のひたむきさや優しさに魅了された。(あらゆる制約から解放されたら自分は何を探求するんだろう?)

社会的制約の中でいかに自己実現していくかという要素を持つ作品であり、フェミニズムの要素を複合的に織り交ぜつつ、エンタメとしても昇華されている。超抽象化すると行って戻ってのロードムービーでもあり、脚本の完成度が高すぎるし、これを140分に収める監督力も凄すぎる。

難しい役柄を完璧以上に演じたエマ・ストーンが凄まじいのはもちろんのこと、ウィレム・デフォーやマーク・ラファロなども名演だった。特にマーク・ラファロ演じるダンカン、、、なんだか後半になると優しくしてあげたくなってしまうくらい人たらしとしての完成度が高く、コミカルで面白い役だった。

ベラの世界認識の不安定さに合わせるように不協和音が混じってくるサントラもかなり良かった。サブスクにあるので聴いてみよう~。

他にも撮影/美術/編集など、ありとあらゆる構成要素が素晴らしく、予告編から本編鑑賞後まで、全てのフェーズにおいて充実した感覚を得ることができる素晴らしい作品だった。
ごい

ごい