APACHE

哀れなるものたちのAPACHEのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
【哀れなるものたち】感想

ミッドランドスクエアシネマで鑑賞🎞

謎の女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。日々の閉鎖れた生活の中、ベラは「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられ、胡散臭い弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体を持ちながら新生児の目線で世界を見つめるベラは時代の偏見から解放され、平等や自由を知り、驚くべき成長を遂げていく。

久しぶりに映画館で映画を観れる時間が空けれたのと、観たいと思う作品が一致した。

好奇心に身を任せて世界に飛び出た主人公が色んな経験を積んでどんどん成長していく姿が大好きな映画【ベンジャミン・バトンの数奇な人生】と同じ匂いがして、ワクワクしながら観れた。

2時間30分の物語のテンポも良く、笑える小ネタもたくさんあり、なんと言ってもベラ役のエマ・ストーンの表現力がスゴくて、様々な世界を見て体験し知ることでの感性の成長ぶりは見応えがあって、歩き方からセリフ回しさながら、あんなにも体を張った女優さんはなかなかいない。そして体張りすぎのエログロ描写でR18(笑)

マッドサイエンティストで天才外科医ゴッドウィン役のウィレム・デフォーの解剖実験で遊ばれた動物たちは、どれもかわいいクリーチャーで、こんな見世物小屋があったらワクワクするんだろうなぁ。

弁護士のダンカン役のマーク・ラファロも、だんだん情けなくなっていく感じがよく、最終的な小物感がシュール過ぎて、演技の幅がめちゃくちゃ広い俳優さんだと再認識できた。

歪んだ道徳観の世界でベラを中心とした群像劇だからこそ、その中の登場人物たちの台詞が刺さるものがあったし、音楽、映像、衣装、どれもが現実とファンタジーの狭間にあって、何か前衛的でお洒落だけど難しい表現じゃなく深いテーマを映画にした作品だった。

情報が溢れた現代で、流れてくる情報を見聞きすることよりも、体験して知ることの大切さを教えてくれる作品なので、もっと外の世界を感じたいと思う全ての人たちに観てほしい好奇心と自由とダークファンタジーだ。

純粋無垢の裸足で世界を味わった後に待っていた
『いろんなことを経験したんだね...。
よかったよかった』で泣いてしまった。
APACHE

APACHE