哀れなるものたちのさあやのネタバレレビュー・内容・結末

私には、映画やドラマのストーリーの進み方やオチ、セリフ、展開を予想しながら見る癖があって、たまにそれが裏切られたりすることはあるけど、哀れなるものたちは、まずそもそも、最初から予想すら出来ない、考えさせて貰えない映画だった。何が来るのか全くわからない、ただ目の前に流されているものを感じることに必死だった。だって、考えてもわからないから。特に最初の方。この感覚って、まだ何も知らないベラの脳の発育とも似てるのかしらなんて思った。だんだん進んでいくと、劇中のベラのように、私も色々ストーリーのことがわかってきて、思考を巡らせながら見られるようになってきた。見ている側もベラと成長していたのかも。

考えたことはいくつかあった。

本能的に動くベラを見て、初めは「良識的な」観念にしばられた私は、少し嫌気がさしていた。でもだんだん心地よくなっていく。本能ってそうだよね、生物ってそうだよね、って思ってくる。でもしばらくするとベラは学んで、「良識」を少し掴んでくる、良くも悪くも少し社会的になったベラが私は少し寂しかった。でもベラはベラだったし、最初から最後まで芯は強く成長するにつれてそれはもっと太く、社会的にも強いものになっていた。寂しかったけど美しかった。