なつミン

哀れなるものたちのなつミンのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.6
衣服のドレープが綺麗に纏まるように、物語をタッセルのごとく締める俳優たちの演技はとても美しく、目を見張った。特にエマとコントロールフリークな夫。
女性の生き方が自由であると叫ぶのには当然声を揃えたいが、自由であると描き続けた結果、結局「自由」な女性が描けなくなるなるような作り手の不始末は、見ていてとても退屈。
皮肉に溢れているのは結構だが、人間の本性を皮肉って笑えた気になるのは、それこそ「傷つきやすい少年」特有のそれである。
数十年にわたるフェミニズムをもう一回生き直すのには、”男”の力も、自分自身の力も、金の力も、思想の力も、20年セックスをしていない先達の力も必要だったのは至極当然の話で、”お話”にするのに必要な”熱烈ジャンプ”が、この作品には足りない気がする。
なつミン

なつミン