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哀れなるものたちのsのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
抑圧と支配。自我の芽生え。自由意志としてのセックスの行使。脱却と解放。改善と進歩。
外の世界へ飛び出し、あらゆる本を読み教養と知性を得て、人と交わりながら喪失と真実との対面を経て、他の誰でもない自分による自分のための自分だけの人生を築いていく。
後半は大好きな映画、加藤泰の『骨までしゃぶる』と通ずるものがあったり、「幸せは自分で掴み取るもんだよ!」を堂々とやってのけた桜町弘子が重なる。やはり本だ。知性だ。本を読もうと思った。
ただ、ラストの庭のシーンを経て、この先ベラがどのように生きていくのかが気になるラスト。この監督の映画だもの、神聖な美しい物語としては終わらないことだけは分かる。やはり人間の進歩と発展による最終的な行末は傲慢と権力の行使になってしまうのだろうか。人間の醜さと哀れさが不気味に残る、見方を変えればある意味絶望的なラストとも言える。

メモ
Mary Shelleyの『フランケンシュタイン』。ベラの物語は彼女の生涯をなぞる様に存在している。ゴッドウィン・バクスター」のゴッドウィンはMary Shelleyの父親の姓。

ファスビンダーの『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』や『マリア・ブラウンの結婚』でのハンナ・シグラが蘇る、ベラとのやり取り。
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