小清水美里

哀れなるものたちの小清水美里のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

死体の妊婦が孕っていた子供の脳を妊婦の死んだ体に移植する、という設定にはゲロが出るほど嫌悪感を感じるのだが、そんな倫理観の崩壊を最初から見せられたことで脳が破壊され映画に没入できた気がする。異端で全く先の読めない展開に終始ワクワクドキドキした。
血とか内臓系が苦手な方はちょっと我慢しなきゃかも。私は少し目を覆ったシーンも。

体は大人、脳は子どもという逆コナンの主人公は外の世界を見たことがなく、育ての親である博士と召使い(?)と博士の弟子しか触れ合ったことがなかった。ある男に出会い、外の世界へ冒険し様々な価値観などを身につけ成長していく。好奇心旺盛な主人公は、見たもの全てを吸収するかと思いきや、きちんと自分の頭で考えられる様子になぜか安心する。(カエルを潰して笑っていた時はヒヤヒヤしたけど、人間の赤ちゃんが餓死していくのをみて主人公が泣いたときに特にそう感じた)

と、思っていたのに!!
ラストでまさかの元夫と山羊の脳を入れ替えるという衝撃のオチ。劇場内には笑ってる人とかいたけど自分はファンタジーだとしても、主人公とその仲間たちが博士の家で楽しそうな姿に寒気と身震いが止まらなかった。
クソ男と山羊の脳を入れ替えることで平等になったのか...??


美しい衣装やセットは映画の世界観を表現するのに不可欠なほどピッタリと重なっていたし、主演のエマ・ストーンは頭から指の先まで奔放な演技を繊細に行っていて見惚れた。
小清水美里

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