ミサホ

哀れなるものたちのミサホのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
本作はみなさんの評価がすこぶる良いですね。わたしも期待してました。ランティモス監督の作品は、本作で3本目。

特に『女王陛下のお気に入り』は
先日観たとこですが、わたしのお気に入りです。

エマ・ストーンという役者は、ルックスも新しい感じがしますし、ジェンダーレスな魅力もあると思います。本作のベラという役どころは彼女の透明感溢れる雰囲気が、ともすれば生々しくなりがちな物語を品よく落ち着かせ、むしろ高貴な香りすら漂わせます。

序盤のモノクロの映像は、一度は死に、甦るも、屋敷に閉じ込められ、極端にいうなら、身体は大人ながら喜怒哀楽含めた物事をまだ知らない幼な子ベラの心情を表しているのだろうか。

中盤、映像はカラーへ移行

性の悦びに目覚め、本能を解き放ち、そしてあらゆる感情を獲得し、さまざまな経験をしていく様をカラーで表現している。その経験の数々は、ベラにとって華やかで、ハッピーなものなのだろうか。

いや…世界の暗い部分も見た。
自分の幸せだけではなく、他人の幸せの行方も世界の酷な現実も知った。

ベラは男にコントロールされているようにも見えるけど、一方で、男を惹きつけ、魅力する。

パリでの経験は、生きる手段のようにも見えるが、彼女にとってのある種の実験でもある。自分がどう変化するか、相手がどう反応するか。生みの親ゴッドウィンの生涯が実験に次ぐ実験であったように。

エマ・ストーンの黒髪が本作にとても良く合っている。毒を含んでいるという意味で。あと、終盤の夫と対峙する場面の衣装も興味深い。そのデザインは解剖や移植の為に胸を開かれた身体のようであった。それは“わたしは以前のわたしではない”と暗に言っているように見えた。

オープニング&エンドロール。
画面の縁にクレジットを配置していて、とても素敵だったな。まるで絵画のようでした。

レビューをエマで埋め尽くすほど、
エマに魅了された141分でした。
パンフが売り切れていたのは残念…

ゴッドウィンにならって、エマを想い、甘いポートワイン🍷を飲みたくなりました✨
ミサホ

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