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哀れなるものたちのanneleia16のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

正直後半さしかかるまで(一体何を見せられているのか…「イレイザーヘッド」みたいだけど可愛いのは服だけか…グロいのやだ…)という気持ちでいっぱいだったのだけど、ラストシーンを見た瞬間、「デスプルーフ」並のカタルシスを得てしまい、本当にガッツポーズして喜びそうになった このシーンだけで、ベスト10には入らずとも好き映画は確定しちゃった
主軸としてベラの成長譚があって、そしてめちゃくちゃフェミニズムで(大好きありがとう)、多分Good For Herではないような

ぐるぐる考えた結果、テーマは「統合」と「ルールからの逸脱」なのかなと思った
まず、ベラの存在自体が、ヴィクトリアという母の身体に、胎児の脳を移殖した「統合」された存在
マックスと結婚するという契約、恋愛行為や家族であるということ、これってロマンティックラブイデオロギーっぽくない?これも、ばらけた目的を一つに統合されているように感じるし
アレクサンドリアのシーンも、資本主義としての世界の統合(上層社会と下層社会という明らかな格差を一つのシーンにまとめた、みたいな)なのかなと思って
それに対して、ここに出てくる男性って、確かにベラを縛り付ける存在で、加害性が含まれているのだけれど、決して統合している訳じゃない むしろ分解されているように感じた
じゃあマスキュリニティって統合されるべきなの?とか 気になる
私たちが生きている社会って、まず暮らしている以上「意志」が存在していて、その衝突とかを避けるために「ルール」が設けられてる
でもこの話は、まず最初に(なぜか)ルールが設定されていて、ベラの行動などを制限していて、だからこそベラが「外に出たい」に始まる「ルールから逸脱したい」という意思が浮上するのかな
だから、私たちの生きる社会とは逆のシステムになっていて、それが奇妙でありながら上手く機能しているのかも
でもなんか本当に性産業に参入することでしか話を進められなかったのか、理由は分からないけどなんとなく障碍について想起させる部分があるとか、こういう話の流れが正解かどうかは不安になっちゃったりする
それでも、ベラ本人が自分の意思を以て、自分で考えて行動することが、ベラ自身の成長に繋がっていくというスタイルはものすごく良かった
あとえびちゃんも言ってた、本を投げ捨てる男性と、それでも本を手渡してくれる女性の存在 これ本当にありがたいわ

あと魚眼レンズみたいなの全然わかんなかった!!
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