ヨルゴス・ランティモス監督作品はこれまで『籠の中の乙女』『ロブスター』を観たけどその中ではR-18指定にもかかわらず一番観やすかった気がする。
どの作品も支配管理される存在とそこからの脱却や開放を描いているけどこれまではわりとモヤっとする結末。今回はハッピーエンドだったと思う。清々しい。
ヤギ男はちょっとこわいけど笑った。ダンカンの落ちぶれっぷりもコメディ要素。
フェミニズム的な視点はちょっとよくわからないので割愛するけど、一般常識や偏見に囚われないこどもの価値観を持って世界に飛び出せたなら世界の広がりは無限大。
それに縛られず自分らしく生きる人ってとっても魅力的なものだ。
エマ・ストーンの演技が凄まじかった。
序盤の見た目は大人!頭脳はアカチャン!なベラの幼児的振る舞いの解像度の高さ…
そして、奔放な熱烈ジャンプ!
からの、後半の知的な大人の女性なベラとのコントラストよ。
成人の肉体で到来するイヤイヤ期おそろしすぎるだろ。
音楽はいつものランティモス作品らしくちょっと不穏なキィキィするやつだけど、R-18なシーンのたびにキィキィしててなんか笑えてきた。
あと、ヨルゴス・ランティモス監督の作品はダンスシーンが楽しい。
映像も美術も衣装もヘアメイクもとにかく素敵!
今作のテーマもこんなかんじだし女性受けよさそう。
スチームパンクっぽい建物や船のデザインもいいし、娼館の窓がアレの形してたりとか細かくオシャレで良い!
エンドロールでは美術へのこだわりを感じられた。
R-18ということで、露骨な性描写が続くけどなんだかあっけらかんとしていてあまりエロってかんじではなかった気がする。
この作品には必要不可欠な描写だと思った。
それとちょっぴりグロもあり。脳みそや臓物が出てきたり、解剖の検体の顔面グサグサしたり…
実験でできたと思われるキメラ動物はキモかわいい。
そういえば、娼館のシーンは同じパリの娼館を描いた安野モヨコの『鼻下長紳士回顧録』を思い出した。好きな漫画。