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哀れなるものたちのZIMAのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
赤ん坊の脳みそを移植された美しい女性のベラ。新生児の眼差しで世界を見つめ、いろいろなことを貪欲に吸収しながら成長してゆく。やがて「外の世界が見たいぜ!」という、溢れんばかりの好奇心と性欲をもって、大陸横断の旅に出るのであった的なお話。

人間が生きるためには、経験を重ねることであり、その積み重ねがあるからこそ、人間らしさが芽生えるのだと。好奇心に勝る最高のスパイスはなく、人が素晴らしい営みを得るためには、能動的な学びよりも、自発的な学び(好奇心からの学び)の方がより自分らしく生きられるよねって。

だからこそ、誰かの基準に形どられた人間らしさは窮屈だし、それこそ哀れであると。女性らしさ、男性らしさ、父親らしさ、母親らしさ、自分ではない「誰か」の定義で染まった登場人物たちは、まさに哀れなる人たちであり、自分らしくあり続ける登場人物たちは、美しくもあり、力強くもありました。(最低限の社会性が必要なのも言わずもがな)

なんといっても、エマストーン。無垢な幼児からインテリジェンスが溢れる女性へと変わるベラを説得力マシマシで演じており、まさに怪物でしたな。

それと同じく、ウィリアムデフォーの圧倒的な顔力(戦闘量53万)。ただでさえ、忘れられない顔(失礼)にもかかわらず、ツギハギだらけの顔面からの、マッドサイエンスというキャラ。世間とはズレている優しさを彼ららしさであり、だからこそ物語の終盤はとても美しく良い顔をしておりました。


と真面目な感想もありつつ、結局記憶に残っているのは熱烈ジャンプとダンスシーンなのは、皆さんと同じってことで…。
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