エクゼピア

哀れなるものたちのエクゼピアのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
美しさと醜さ、相反する概念が実は表裏一体であるかのように思わせられる、弩級の魅惑を持った怪作であり傑作でした。

自ら命を絶ったはずの女性が、身に宿した赤ん坊の脳を移植され奇跡的な蘇生を遂げる。
成人女性の"体"と善悪や倫理観も定まらない産まれたての"心"を兼ね備えた異質な彼女"ベラ"。
そんな彼女が壮大な旅の中で大きく成長していく物語。

知性や感情を獲得し、表情や立ち振る舞いが洗練されていくベラの変化は衝撃的で、
それを激しく静かに表現したエマ・ストーンの演技が圧巻でした。

映像表現は絵本のように幻想的。
音楽も心地良さ(と時折不気味さ)がありました。
芸術的な画面作りの中で、
残酷な現実が生々しく描かれますが、
ベラの主観を通してその支配からの独立・解放による爽快さ、ある種の幸福感をスリルたっぷりに感じさせてくれました。

(#565/劇場鑑賞/字幕)
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