よつ

哀れなるものたちのよつのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
面白かった…!
画が全部良い。白黒の魚眼レンズのようなもので撮ってるシーンが好き。セットのかっこよさも際立ってるし、何よりひとつひとつのショットへの執着というかこだわりが見えていちいちかっこよかった。
音の使い方もかっこいい。音楽というか、音の塊をぶつけられてる、みたいな衝撃がある。
セックスの動きと一緒に音はめてるシーンとか小気味よい。

この監督の撮る内臓が好き。「聖なる鹿殺し」の剥き出しにされた心臓のショットにびっくりした。今作も剥き出しの内臓や脳みそなど、盛りだくさんで良かった。この監督の撮る内臓、ちゃんと気持ち悪いのに下劣さを感じなくて目が離せなくなる魅力がある。

物語もとても良かった。女性の自立みたいなメッセージ性もあるんだろうけど、人間の好奇心を讃えてるようにも感じた。幼児の生活圏での好奇心が、どんどん大きく遠くにまで及んでいくのがドキドキする。エマ・ストーンの演技も相まって魅力的だった。
世界はそんなに甘くないと、スラム街を見せられてすごく悲しむシーンの音楽がめちゃくちゃ良かった。

博士とベラの擬似親子的関係も好きだったけど、博士から語られる博士とその父の関係性にもぐっときた。
科学の進歩の為に父親からあらゆることをされた。でも父の科学者然とした態度を自分の中で正しいともしている…っていう、ものすごくぐちゃぐちゃ思いが渦巻いてる感じ。博士、凄く魅力的だった。


めちゃくちゃに満足度が高かった…。本当に良かった。最後、疑念要素を入れて終わるのも好みだった。
人間すげぇ。
よつ

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