カイザーソゼ

哀れなるものたちのカイザーソゼのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
音と映像の壮麗さに終始やられっぱなしのとんでもない怪作でした。
「自らの主体性によって、生きる」ということをテーマに、壮大に激しく、物語が紡がれていく。

とにかく、一個一個の舞台、衣装の放つオーラの凄まじさよ。
リスボン編は圧倒的に頭に残る。クラクラする。
幼少の頃、The Cellの輪切りの馬をみたような、映像体験、色彩体験としてだけでも素晴らしいなあと思ったものでした。

一方、観る側でも、おそらく男性女性でも感覚はだいぶ異なると思われるのが、その中で性的なコミュニケーション、生活が非常に中核となっているところ。当然超男性的な世界観、抑圧を破壊していく一つの道だとは思うけど、それはそれで単純化しかねないかとか、色々な思惑はあるだろうなとは感じます。
ただ、その道を圧倒的"生"の力で描き、また演じ切ったエマストーンはもうそりゃすごいよあんた。

話は戻るが、とにかくどのショットショットも壮麗な絵画に感じられる。
300%気合の入った絵本・寓話的な世界観、映画で魅せるとした時の最高の形で魅せてくれたと思います。