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哀れなるものたちのGamのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
よく実家に帰るとホームビデオで幼少期の奇行を鑑賞させられるのだが、襲ってくる地獄ハード羞恥心に耐えるために、今の自分に至るプロセスを死ぬ気でふり返ることがある。
「人はこんなにも生まれ変われる!すべての経験を知識に換え、オレは理性の階段を登ってきたんだ。この羞恥心はその証だ!」というように。
だから映画の筋とメッセージには強く共感できた。なんて素晴らしき、人間の理性。

終始グロテスクで不穏な空気にもかかわらず、不思議と飽きることはなく、むしろまだ観ていたかった。それほどベラというキャラクターから目が離せなくなる。何を知り、何を為すのか。予想できない行動ではあるが、どのアクションもベラが自身で獲得した理に適っている。そこが気持ちよいのかもしれない。

衣装・舞台美術・背景……映るものすべてに限界を超えて注がれた創作パワーを感じる。ファンタジーだからこそ無限にできる非リアリティ表現を、いかに実写映像という制約的な域に落としこむか。実在する国や歴史のあらゆる表現文化をベースにしながら、加減よくフィクションを織り込む。そのバランス感覚こそが卓越していたように思う。

読書老婆が好き。あと緑大男のイメージしかなかったマークラファロが、ふしだらに女を愉しませるプレイボーイをやっていて、強烈なエロさを感じた。
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