若色

哀れなるものたちの若色のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
性がどうこうじゃなく、とかく刺激的な映画。

まず色を語ろうと思う。
モノクロで幕を開ける本作。ベラ(エマ=ストーン)の性の快楽を得ることにより色を付け出す。
色の効果はそれだけではなく、シーンごとに変わるベラの衣装のカラーも青からピンク、黄色、オレンジと変わっていく。画面の色調世界もまた、カラフルになったりくすんだりする。もしかしたら私たちの見ている世界も、そんな色調の変化があるのかもしれない。
わたしはベラが成長するために出会う4人の男性(父性のゴッド、愛人のダンカン、イケメン黒人のハリー、かつて夫だった将軍)は、ブッダ(仏)がまだ王子だった頃に王宮からみた東西南北の門を思い浮かべた。3つの門からは病気、老い、死を見て、人生を悲観し4つ目の門から出家をする。4人の男性それぞれ別のベクトルで、ベラを成長させている。
成長するごとに言葉遣いやふるまい、目つきまでも変わるベラ。
成熟する前に見ていた世界は色だけでなく、いろいろなアイテムがファンタジー的だったのに(例えば可愛いらしい客船とか、馬の頭だけつけたエンジン付きの車とか)、大人になったらすべてが現実的で普通のものに変化している。もしかしたら、あれはベラにはあのように見えてたのかしらと思う。
最後は、傍目には残酷にも見える自分達ユートピアで幸せに暮らしました。というのがあまりにも皮肉めいていて最高だった。

鑑賞して1週間経つけどまとめきれない。散文失礼。
若色

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