寝るのだいじ

哀れなるものたちの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

赤ちゃんが無垢な状態で、自身の実験を重ねることで性と社会と人間を理解していく話。

ベラは怪奇な動きだし、科学者はツギハギなので、ファンタジーテイストのホラーかと思った。
マッドサイエンティストも行きすぎると、純粋無垢な世界を作りたくなるのかもしれないと感じだ。
また、本当の純粋とは、先入観や知識無しに体験を受け入れることであり、それだけで構成されたベラこそ「考える葦」に相応しく美しかった。

汚い意味で一番人間らしかったのは、駆け落ち提案して破滅した弁護士と、脳移植前の旦那だった。
両者とも、女性は媚びれば従うものであり、弱いから男性には敵わないとわかった上での振る舞いで、能が無く滑稽だった。
知性と理性と慣用さを兼ね備えた、ベラに相応しい男性は医師だったし、自分に釣り合う人と結ばれるのが人生なのだと教えられた。

映像が現実離れしていたり、音楽が心情やテンションを表していて、五感でベラを感じるような、映画館でこそ観たい素敵な作品だった。