かめ

哀れなるものたちのかめのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

初め、ティム・バートンもどきのイロモノ映画かと思ったが、話が進むにつれどんどん惹き込まれてしまった。

身体は成人済み、心は幼児の女性・ベラが
その身体とのギャップに翻弄されながらも段々と精神性を確立していくさまは、大人になりきれない大人が社会問題化する昨今、多くの人の胸をうつ事のできるモチーフだったのではないだろうか。

その大きな身体に反し、言動が子供そのものであったベラは冒険に出て、性を知り、世界の残酷性を知り、知識を経て、自分で生きることのできる強い女性へと成長を遂げる。
そして初めて、自分の出自を受け入れるのだ。
賢さとは、強さとは、が詰まった良い映画だと思った。


偶然にも、つい最近観たグランド・ブタベスト・ホテルと同じくウィレム・デフォーが良い役どころを演じていたが、こちらは哀しくも愛に満ちた善人で、彼の役の幅に驚いた。

ところで、初めモノクロだった映画が途中でカラーになるが、この演出の意味は一体なんだったのだろうか。
ゴッド邸での退屈な日常からの解放なのか、
ベラの精神が発達した(物心ついた)ことの表れなのか、
はたまた自立の象徴なのか…。
これもまた考察の余地があり、面白い。
かめ

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