みっけん

哀れなるものたちのみっけんのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

フェミニズム要素のある映画として、かなり踏み込んだ作品だと思う。ただ、フェミニズム映画とのみ捉えると認識を誤る気がする。確かにそういう側面はあるものの、いわゆる女性の強さを主張するエンパワーメント系作品とは一線を画していると思う。

【印象に残った点】
・主体的な性行動
子孫を残すためでもなく、無理矢理でもなく、ベラは「やってみたいから」という自分自身の意志で男とセックスをする。女性が性に積極的であることは未だにタブー視されがちで、また、セックスは女性の尊厳・存在を脅かすものとして、これまでフェミニズム作品では距離を置いて描かれる印象が個人的にはあった。そんな中でベラの行動は「自分の身体の使い方は自分で決める」を体現するものに感じた(ダンカンとの関係はグルーミング的なものから始まること、娼館で働くことは必要に迫られている面があることは留意すべきだが)。

・医学を学ぶベラ
娼婦という被差別の立場から最高峰の知識(=尊敬される職業)を学ぶという、この両極端な行き来は面白かった。

・ラスト
ベラは結局マックスと結婚したのか?ラストの団欒には娼館の同僚(パートナー?)もいた。異性婚をしてめでたしめでたしではないところも、いろいろと考察できそう。

・美術や衣装
なんか変な19世紀末、時代考証としては明らかに異なる衣装、どれも可愛い。アートブック出して欲しい。

もしかしたら、これはパラレルワールドを描いた話で、そこでも人間は相変わらず感情や意志に振り回される「哀れなるもの」ということなのかもしれない、と深読み。
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