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哀れなるものたちのhirosickのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
マッドな博士に囲われているベラが、屋敷を飛び出して世界に出会う。さまざまな人々との交流を通して、誰の真似でもない自分だけの生き方を見つけ、迷いなく進んでいくその姿に、心を揺さぶられた。

エマ・ストーンの体当たりな演技が素晴らしかった。瀟洒な雰囲気とキッチュさが同居する美術や衣装、奇妙に歪む音像が不思議と心地よい劇伴なども最高。

死体解剖やセックスシーンなど生々しくて過激なシーンが多いが、それらが生きることのリアリティを醸していた。

ヨルゴス・ランティモス監督の『聖なる鹿殺し』や『ロブスター』で見られた作家性はギュッと濃縮されつつ、与えられる余白はそのままだけど、お話はだいぶ分かりやすい。とても良かった。
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