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哀れなるものたちのHALのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.6
ヨルゴス・ランティモス監督作品は好きかどうかは別としてどんどんやってくれ!という気持ちになる。

女性の身体についての細かい言及(男達からまなざされる身体でもあるが......しかし)が多く、観ていて『バービー』を強く思い出した(ダンスバトルのシーン最高)。エマ・ストーンすごい楽しそうだったしマーク・ラファロがかなり良くてびっくり!あとすごい感動したのは屋敷の壁面や調度品を切り取った"抽象画たち"を映すエンドロール。見えている世界を「それが意味する通りに受け取らなくていい」というのはとってもクィアな視線という気がして、開放感に満たされたまま映画が終わった。あ、あと音楽がめちゃくちゃ面白くて、異世界のアンビエントミュージックみたいなサントラをずっと聴いています。

ヨルゴス・ランティモス監督、ここ最近で一番ハマってる監督かもしれない。一時期のレフン監督みたいな。一方でアカデミー賞取るかどうか注目されてるけど、去年のエブエブよりも狂ったビジュアルであまりにストレートな反権力、女性たちのエンパワメントを描いているから普通に取るんじゃないかと思う。自分が一番好きな監督作品は『聖なる鹿殺し』なんだけど、これとか『ロブスター』にあったブラックでシニカルな目線は鳴りを潜めているけど、それがエマ・ストーンと出会ったことによる陽性なパワーの影響だとしたら嬉しい。次作もエマ・ストーンと組むらしいし、なんとチャン・ジュナン監督の『地球を守れ!』をリメイクするという話もあるので、本当にこの先の活躍が楽しみ。
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