るか吉

哀れなるものたちのるか吉のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
ヨルゴス・ランティモス監督作品は初めて鑑賞。
女版フランケンシュタイン。だけどフランケンシュタインの怪物と違うのは、創造主たるゴッドウィンから愛を与えられ解放され成長していく美しき怪物のIf物語ということか。

鑑賞中、大学時代に発達心理学の授業かなにかで聞いたフロイトの発達段階やリビドー、エス・自我・超自我などの言葉を何度も想起させられた。
フロイトについては詳しくないし勝手な憶測だが、性描写がやたら多いのは物語にフロイト的要素を取り入れていたからか?

また、エスで思い出したので少し脱線するが、スタンフォード大学で実際に行われた監獄実験を題材にした映画が『es』というタイトルで、
被験者を看守役と囚人役に無作為に振り分けその役割を演じさせるうちに、人はその役割に合わせて行動してしまうということを証明しようとした心理学実験の話だが、実験の真偽はともかく、
「監獄」や「実験」、「環境が人の行動に影響する」という要素が、どこか『哀れなるものたち』にも通じるものがあるなと感じた。

『哀れなるものたち』は、ベラを通して成長や女性の自由を描いてはいるが、フェミニズムの言葉だけで語るのは一面的すぎるし、この結末は皮肉たっぷりに感じた。女性・男性関係なく全ての人間が哀れなるものたちということでは?

エマ・ストーンを始め俳優陣の演技や、美術・衣装の素晴らしさ等については、多くの方がすでに沢山語られていると思うので省略。
パンフレットが可愛かったので買ってしまった。
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