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哀れなるものたちのrinのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画という名の総合芸術かと思った。
音と色と質感と…ストーリーに出てくるもの全てで表現していて、すごく良かった……。もちろん演技もすごい…鳥犬かわいいです。
映画が好きな人は好きだと思います。好き嫌いは分かれそうですが。
個人的にはめちゃくちゃ良い映画でした…。

まず序盤、モノクロで描かれていて、人としての未熟さみたいなものが受け取れたし、悦楽を知った瞬間に世界に色がついたのがよかった。そして最初はモノクロだったから、どんな色の部屋に住んでるのかと思ったらこういう色か!みたいな感じで……
基本的に青と黄(橙?)をメインとして使っていて、補色で補ってるカラーリングでめちゃくちゃこだわりを感じて好きだった。
その時の背景美術も、まるで夢のような背景で、本当にベラにとっては夢のような世界だったからかな、と。
やっぱりベラ視点で物語進んでくから、ベラの成長に合わせて世界が色づいて、輪郭がはっきりしてくるのを色や美術で可視化して表現したのが本当にすごいな、と思いました。本当に芸術作品のような映画。だからいやらしさを感じないんだろうな〜……全裸の美術石膏像に何も思わないのと同じ感覚に近いかもしれないです。

最後の方はすごく賢くなっていて、哲学的で、そして生い立ちを知る頃には世界も写実的になっていて、カラーが赤と黒がメインカラーに切りわかってすごく“大人としての成熟さ”みたいなのが出ててよかった。
大人になるって、世界の色が減って、見たくもない色々なものがはっきり見えるようになって、夢のようにカラフルでふわふわした暖かさみたいなものを失っていくのかな…と思うと、ベラの成長とは…………いや本当に色々と考えさせられる映画でした。

オチも最高!!!目には目を、歯には歯を…🦆🐕
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