パン泥棒

哀れなるものたちのパン泥棒のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ヨルゴス・ランティモス監督最新作!
ポスターや劇場予告のみの前情報だけで観ましたが、やはり衝撃作でした🙄💦

クラシックでもあり未来的でもあるあの独特なファンタジーの世界観、モノクロとカラーの見事な融合、奇妙さをより一層引き立たせる音楽、美術品や衣装の数々。
どれもとても素晴らしかった!!

そして何と言ってもエマ・ストーン!
一流女優の見事な脱ぎっぷり、体当たりの演技には驚かされた!!
赤ん坊の脳みそを移植され歩くことも覚束ない幼い頃から凄まじいスピードで成長をしていく様を繊細に、それでいて大胆に演じられていました!
この作品は彼女なしには成立しない!
むしろ彼女だから成立していると言っても過言ではないと思う。

ベラは、自由奔放で好奇心旺盛。
思ったまま、感じたままに行動する小さな子供だった。口に入れたものがまずければベーっと吐き出すし、腹が立てばわめきながら皿を割りまくるし、音にあわせて奇妙なダンスを踊り出すし、マスターベーションをして「幸せになる方法を見つけた!」と恥じらいなどなくはしゃぐ。

そんな自分の心にまっすぐな彼女を、周りにいる男たちは傍らに置いて閉じこめてコントロールしようとする。
しかし、旅をしながら新しい人たちと出会い知性が芽生え、目まぐるしく成長していく彼女に男たちは皆翻弄される。
特に、性的快楽が愉しくて仕方のない頃のベラに「女には本気にならない」と調子に乗っていたダンカンが、ベラに本気で恋をして思い通りにコントロール出来ずに落ちぶれていく描写はとても滑稽でまさに「哀れなるもの」だった。

しかし…
傷付きながらも社会的なモラルに縛られることなく、自由に成長してきたはずの彼女もまた…
「哀れなるものたち」と同じように元夫に羊の脳を移植して自由を奪ったり、売春宿で仲良くなった女性を自宅に呼び寄せたり…少し見方を変えれば囲っているようにも見えるそれは…
ベラもまた「哀れなるもの」の1人であることを示しているように思えた。

【自由・性・女性の権利の解放】
フェミニズムがやや偏っている感は否めないし、ベラの成長を描くのに重要な要素だったとはいえ、必要以上に性的描写が多すぎる気もするし、
ヨルゴス監督は本当に脱がすの好きね(笑)
なんて思ってしまったりもするが…

これまでのヨルゴス監督作品の中では解りやすい内容のように感じたし、トータル的には満足★
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