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哀れなるものたちのsioのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
大好きなヨルゴス監督作品。公開終了前になんとか劇場で鑑賞。

おとぎ話のような温度感。ベラの旅は一人の人間の人生を凝縮しているようで、人類の文化的歩みを凝縮しているようにも見える。構造的にはマザー!に近いものを感じた。約2時間半の中でこのスケール感の時間の流れや精神的な変化を感じること自体に映画的面白みがある。

ベラの大人子供っぷりやそれに振り回され倒す男たちの構図はシンプルに面白かったし劇場内でもクスクス笑いが起きていた。それでいて男という生き物の業の深さも描かれていて涙目。

過去ヨルゴス監督作品と比べても(全て見たわけではないが)映像はかなりファンタジーで楽しい。ストーリー上必ずしも必要ではない部分もしっかり非現実的に作り込んでいてこだわりを感じた。ベラの精神的成熟に比例するように景色が現実的になっていくのはそういうことなんだろうな。。また不条理な香りもしっかり感じられて、過去作ファンとしても満足度は高い。特に音楽(?)とカメラワークが尖り切っていてとっても好み。

以前Twitterで「映像作品に必ずしもエロ表現は必要か」的な議論に巻き込まれかけたことがあるが、この作品に関してはエロ描写は必須だなと思った。
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