わんぱち

哀れなるものたちのわんぱちのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最初に言われていた
「どこまでが人間だろう」という問いに収束すると思う。

人間の中でも”動物的”と言われる代表的な例として性行為が挙げられる。本作品は気まづい通り越して関心がなくなる程性行為の描写が繰り返される。また、残虐的なシーンや弱肉強食の世界を表すことで品性に欠けた社会的ではない人間を表している。また、大人の身体をした子どもや最後の羊になった人間など、人間であることは身体的な問題ではないことを表していた。このようなシーンから、どこからが人間でどこからが動物なのか考えさせられた。

主人公(ベラ)が貧富の格差を知り知性を得たあたりからものすごく面白くなった。ベラが自分の考えと近づいたからだろうか。

Poor Thingsと題名にもあるよう豊かさと乏しさを描かれていたように感じた。
貧困の地域の部分も含まれるが、知識の乏しさや品性の乏しさを感じた。翻訳で(哀れな)という言葉が常々使われていたことからも伝えたいことの1つだからだろう。

独特な演出も印象的だった。
カメラワークについては、知識がないため上手く理解できなかったが、不自然な切り替えやズームが緊張感を煽った。
最も印象的な演出は色の使い方だろう。
白黒の映像、絵本のような空や色使い、現実の(リアルな)世界など様々だった。勝手な想像だが、ベラの見えている景色を表していたのではないだろうか。
幼く知識もないベラには、周りの知識を得ることに精一杯で世界が色付いていなかった。世界を知る旅にでたベラは、全てが新しく現実離れした絵本のような世界に見えていた。しかし悲しみを覚えたベラは、現実を知り本当の世界が目に映し出されるようになった。最終的にベラが最も美しいと感じた世界が、絵本のような世界だったことから最後のシーンは非現実的な空で終わっていたのだろう。

エンドロールも芸術的な背景が使われており最後の最後まで作品の世界観に引き込まれてしまった。


最後に、ダンカンがハルクのイメージが強すぎて悪い人に見えない!!!!!!!
わんぱち

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