アーモンドフィッシュ

哀れなるものたちのアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.9
この前、九州にお住まいのTwitterのフォロワーさんが、福岡のど真ん中、中洲大洋映画劇場の閉館が決まったって悲しむ投稿をしていました。私も、その映画館には一度は行ってみたいと夢見てたんです。そしたら、なんと最終営業日に、運良く(というか、なんとか時間を作って)行くことができたんです。さよなら興行のチャップリンの映画は開始早々にチケットが飛んでいっちゃったけど、「哀れなるものたち」には間に合いました。映画館内は満員御礼で、あの独特の雰囲気に包まれてましたね。

映画の話をすると、物語は、外科医で研究者のゴッドウィン・バクスター(ゴッド)が、橋から飛び降り自殺した妊婦の遺体を発見し、その遺体に生存していた胎児の脳を移植して生き返らせたベラ・バクスターという女性の成長を中心に描いています。自分の人生や愛、自己表現の真実を求めて旅をする話です。

R18指定だけあって、性的なシーンが結構刺激的だったんですが、エマ・ストーンがこんな役を演じているのを見て、彼女への敬意がさらに深まりました。映画の中で彼女が演じるベラは、「ニンフォマニアック」を彷彿とさせるほどの挑戦的な役どころ。映画では、ベラが性的にも精神的にも自立した女性に変わる過程が、「バービー」のテーマにも通じる形で描かれています。

映画が白黒からカラーに変わるのは、まさにベラの性的な目覚め(セックスを覚えた)を象徴するシーンだったのかもしれませんね。

そして、映画が終わると同時に、私も中洲大洋映画劇場を後にしました。外では、閉館を惜しむファンやマスコミが集まっていて、初めて足を運んだ私でも、その場の空気に心打たれ、寂しさを感じました。博多の方々にとって、この映画館がどれだけ特別な場所だったか、想像するだけで胸がいっぱいになります。いつか、この映画館がまたその扉を開ける日を願いながら、その日が来るのを楽しみにしています。