ヨルゴス・ランティモス監督の前作『女王陛下のお気に入り』を観たとき、助演ながらもエマ・ストーンの映画だなと感じました。
そして、今回『哀れなるものたち』では主演に昇格という感じで、もう正真正銘エマ・ストーンの映画になってました!
エマは『ラ・ラ・ランド』でもオスカー主演女優賞を獲ってますが、今回の2度目の受賞の方が役柄が濃いし、全然違うベクトルで掴み取った栄冠に思えます。
自殺した女性の死体に、その体内で身籠っていた胎児の脳を移植して蘇生させ、体は大人、頭は子供の状態で成長していくベラ。
よちよち歩きだったところから、女性の権利意識に目覚めるところまで辿り着く成長物語を、エマがその変遷を完全に体現。
エマの女優としての成熟も強く感じたし、2度目のオスカーに輝くのも納得の、魂こもった会心の演技を披露していたと思います。
いやさ、『女王陛下のお気に入り』のときも脱いでたけどさ、「私、脱いでますけど何か?」みたいなレベルで脱いでるシーンが当たり前のような潔さも、感服なんですよね(笑)
そしてさらに、エマ・ストーンの映画という印象も強いが、同時にやはりランティモス作品でもあり、その個性も強烈でした…。
冒頭シーンから絵画のような構図の美しさを感じたし、モノクロシーンからカラーに切り替わることでの独特の色彩が際立つし、大人向けの絵本を見てるような感覚でした。
ものすごく毒が効いてる絵本ってことになりますけどね(^^;
本当意地悪だよなぁと感じながら見ていましたが、そこをコメディとして笑わせてくれるところには、マーク・ラファロのゲス野郎っぷりも最高でしたね(笑)
今の時代だからこそだと思いますが、強い女性像を謳う映画のメッセージ性はパワフル。それをランティモスのクセのあるフィルターを通すことで、唯一無二の映画に仕上がったと思います。
傑作でした!