minaduki

哀れなるものたちのminadukiのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
2.5
往年のドリフターズの人気ネタ、『もしもこんな〇〇さんがあったら』を思い出した

もしも、妊娠できるほどに完全に成熟した女性の脳に、乳児の脳を移植したら

これはもう笑ってみるしかない悪趣味な設定である
ジェンダーフリーを鮮明に浮かび上がらせる為だと言われればそうかもしれないが、悪趣味には違いない

魚眼レンズの歪な画角で映し出される風景の中を歩き回る鶏のような獣のような奇妙な生き物
成熟した絶世の美女のヒロインが幼児のようにぎこちない歩き方しかできないのに、性欲だけは泉のように湧き上がり自慰とセックスを繰り返す
しかしこれが少しもエロくないのだ

対象が人間に見えないからだ
ヒロインはフランケンシュタインと同じ人造人間だから
確かにこの見方は、私の奇形に対する差別意識に根ざしていると思う
その上であえて言う
この物語の前半は、美しい風景、豪華な衣装、絶世の美女であるヒロインの造形美で包んで、奇形の貪欲な性欲をこれでもかと見せて感情を弄るエログロだと感じた

私はピクとも感じないこの映画を観ながら、エロスとはなんだろうと真剣に考えた

フリークスの性交を見せられて私が痛々しさを感じるのは私の中の差別意識である

理由は、この奇妙な世界が、恐怖やエロチシズムをいっさいの娯楽要素を捨て去って見せているからだ

この表現を見続けるには、反省と苦痛と忍従を突き抜けて、私はもはや笑い飛ばすしかなかった

このようにとても不安定で不快な心情から、物語は中盤に至り、ヒロインの豪華客船での旅
そこでの出会いと経験からヒロインの脳は知性を求め、情動を動かし、共感する心を獲得する
この場面以降、物語は真の人間の快楽と本当のエロスを語り始める

物語はこれから先エンディングまで予定調和

下書きに2ヶ月以上放置してやっとあげた
何かが激しく引っかかった映画であったのは間違いない
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