ジョージ

哀れなるものたちのジョージのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ずっと話題になってたので気になってたやつ。

天才外科医のゴッドは新鮮な妊婦の死体を手に入れ腹の赤子の脳みそと死んだ母親の脳みそを入れ替え蘇生することに成功した。蘇生しベラと名付けられた女は赤子の知能しかなく、学んだことを吸収して急速な成長を見せていく。そんな彼女の成長を記録するゴッドの教え子のマックス。ゴッドの指示により婚約者となったが、ベラは外の世界、また性と自由への興味が抑えられず、遊び人のダンカンの愛人となって世界を冒険する旅に出てしまう。
その過程でベラは人間として成長していく。

そんな話なんだけど。
この監督は性に焦点あててめちゃくちゃ人間くさい心理描写を見せてくれると思っているんだけど今回も生々しい。性に関してもだけどそれに伴う感情、本性があらわれる。
美しい大人の女性の見た目でありながら、少女のような奔放さに惹かれるダンカン。父として、創造主としてベラへ歪んだ愛を見せるゴッド。みんなが惹かれてく。自由と冒険の末に自分が本当はなんだったのか知ることになるんだけど、その上でベラとしての生き方を選ぶのはいっそ清々しい。悩む素振りすらない。惹かれるのはその清々しさと自由さからか。
ラストは残虐さを持つ元夫の元へ自分が何であるか、どう生きてたか、好奇心から着いて行ったんだと思うんだけど。この好奇心のままに動けるところもベラに惹かれる理由なんだろうと思った。
そして元夫から解放される道を選ぶ。このラストにベラの残酷さも含まれてると思うんだけど命を助けたあたりは優しさではないか、こう考えてすかっとした気持ちになった人たちはもうこの作品が好きになってるんだろうなと。
哀れなるものたち、これが何を示すのか。ゴッドの手により身勝手に蘇生され第二の人生を文字通り新しく生まれ変わって自由に生きた。このベラに惹かれて人生を振り回された男たちのことだと捉えてるのだけど、自由に生きられていない全てのものに対して、とも思えた。


音楽、映画が進むに連れてシンプルで不快なものから段々と複雑なものになっていくような。多分見落としも多いと思うのでもう一度観て読み解いていきたいと思える作品だった。映像も、背後の風景がなんだか絵画のようで綺麗でしたね。
ジョージ

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