Kakutani角谷

哀れなるものたちのKakutani角谷のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
1.5
まずスチームパンク風の衣装や美術に期待したみたけど、ホリー・ワディントンの衣装デザインは大したこと無かったし、美術セットもジュネやターセム・シンあたりのこだわりに遠く及ばない。

心は子供、身体は成熟した美女、というキャラを性的に搾取することを、男性監督が擬似少女性愛嗜好として楽しんでいるようにみえて気持ち悪かった。

ランティモス監督自身の性癖を映画内で開陳したいというスタイル、アルモドバル監督に近いものがあるかも。

性的に奔放な女こそ自由で強い、という描き方も古臭さすぎる。セックスワーク関連のエピソードの描き方も浅い。

ベラの冒険もゴッドの父性という後ろ盾があってこそ、いつでも父性という安全圏に逃げられるものなのでフェミニズム的な視点からも疑問が残る。

女優が大胆に脱げば体当たりの演技と高く評価する風潮は廃れて欲しいので、アカデミー主演女優賞は別の女優が取るべきであったと思う。

主演女優より、父性や男性性に取り憑かれたウィレム・デフォーやマーク・ラファロの演技の方が素晴らしかった。ウィレム・デフォーは観るたびに、ああ、すごい名優だと思うので、未だにアカデミー賞を獲得していないことが気の毒でならない。

『プラトーン』がアカデミー賞取れたのは100%ウィレム・デフォーのおかげだと思うし。