にわ

哀れなるものたちのにわのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

ベラが本当に健気で大好き。エマストーン最高。
初めて遭遇する出来事に魅了されたり、あまりの快感に恍惚したり、悲痛な現実に嘆いたりするのを通して成長していくベラのことを好きになれないわけがありません。
変わってゆく衣装もとにかく素敵すぎる。ダンスしてる時の服装が一番好き。
そしてダンスシーンがやばすぎる。未知なる音楽に心動かされて自然と、結果奇妙だが健気に見える踊りを踊ってしまうのを見ると、ベラの初期衝動みたいなものを感じられるので最高。
正しくない振り付けについていこうとするマークラファロのダンスも良くて、ベラの規範からの逸脱を修正して世の中的に正しいもの、そして自分の所有物にしようとしてる感じが如実に現れていてしみじみする。周りの客は音楽に合わせて同じ踊りをしているのを見るとその感覚がより強くなる。
時代考証無視なのか?はよく分からないけど、どことなくそんな感じもするし、時代考証無視のかっこよさは前作やエルヴィスでも痛感したから積極的に見たい。
目と口を大きく開けた健気ベラは学びを通して、鋭い眼差しで男、そして世の中を睨みつけていくことになるけど、その過程で読んでいた本を捨てられるのが、娼館での一連の出来事以上に、男が女の向上を好まず、自分の所有物にする欲が滲み出てる最高に嫌なシーンだった。
ウィレムデフォー然り、男の所有欲が全面に押し出されているのがいい。(この人の場合は、ベラは創造主=(一神教の)神の所有物という受け取り方もできるからユダヤキリスト教的な文脈なのか)
ヨルゴスランティモスの作家性が爆発してる魚眼の撮影は去ることながら、徐々にズームして行ったり変なテンポで寄り引きしたり、アホみたいに(鳩に)カメラ寄せていく感じ、本当に奇妙で、映像にしかできない所業だとは思うので、とにかく楽しい。
にわ

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