Aya

哀れなるものたちのAyaのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
#twcn

エンドロール読みにくいって!!

遅くなりましたがヨルゴス・ランティモスの新作行って参りました🫡

笑いの要素は少なめだがテーマは重くもなく楽しんで撮った感が強い。

今回のランティモスはいつにも増して遊び心と主張が上手く組み合わさった印象。

特殊メイクをしなくても顔の怖いウィレム・デフォーの顔に傷を施し、胃液は体外から体内へ入れ消化した後シャボン玉のようなものを吐き出す。

幼い頃、医師の父に"実験"と称して身体のさまざまな部位や臓器を弄られまくった成れの果て。

解剖学の教授のようだがある日、1人の町医者の生徒マックスを自分の屋敷に連れて帰る。

そこには髪の長い年頃の美女エマ・ストーンが。
豪華なドレスに身を包み裸足でぴょこぴょこ歩きの彼女はまともな言葉を話さない。

叫び声をたげたと思ったら手掴みで食べ物を口に入れ尿も垂れ流し、服もキチンと身に付けない。

彼女の記録をとれ、とウィレム・デフォーより仰せつかる。

エマ・ストーンの正体はなんとロンドン橋から身投げした身重の女性…瀕死状態の身体を引き上げ、おそらく脳死状態の彼女の身体にお腹の中から取り出した胎児の脳を移植した、という。

つまり見た目は大人、脳みそは赤ちゃん。
コナンと同じですね!

ウィレム・デフォーの実験よろしく保護欲で育てられ、記録係のマックスとの婚約にまで話が及ぶが途中でマーク・ラファロ演じるクズ野郎と駆け落ちしてしまう。

外を見たい、広い世界を見たい、知りたい、と。

マーク・ラファロは弄んで捨てようと思ってたのにエマ・ストーンを本気で好きになってしまい、クルーズに軟禁。

2人でSEXに身を焦がし楽しい時間を過ごすが、エマ・ストーンはある日、頭が良さそうで30年SEXしてないマダムとその従者の青年により本を与えられどんどん語彙力と考え方を知ってゆくa.k.a学んでゆく。

この船のシーンではおハイソな会話と称してオスカー・ワイルドやゲーテ、スコット・フィッツジェラルドの名前が…時代ばっらばらやないかw

このエマ・ストーンの世界は1900年代頃に見えるのですが、年代がごっちゃごちゃなので所謂"ジョジョ・ラビット"演出。

新しい人に出会い、新しいものを見て、新しい知識を得れば得るほどマーク・ラファロの中身の無さに気付き、他人への感情a.k.a思いやりや慈悲、そして嫌悪に哀れetc...まるで年頃の人間と同じような思考を手に入れる。

時々、ウィレム・デフォーに送る手紙はイラストと覚えたてのアルファベットのなぶり書きで子どものソレなんやけど、イラストついてるSEX描写はやたらリアル。

いろいろあってギリシャに行くはずがモンマルトルに途中下船し、なんと娼館へ。

元々、食欲と同じくらい性欲の旺盛なエマ・ストーン。
そこには彼女の求めるお金とSEXがある。
ただ、女が選ぶことはできない。
選ぶのは男。
主導権は常に男。

すっかり娼館での暮らしも板につき、娼婦仲間とソーシャリズム講座にも通うエマ・ストーンはロンドンを出発した時のような子どもに毛が生えたレベルの精神年齢ではない。

マーク・ラファロがキレるほど鋭敏な言葉を操り自分のことは自分で決める。

そんな彼女に『ウィレム・デフォーが瀕死だー!』と手紙が。
ロンドンに飛んで帰りある決心を固め、マックスとも改めて向き合い結婚しようとすると…

と。

そもそもなぜエマ・ストーンは身重の身体で端から身を投げたのか?

彼女を追い詰めた正体…

この映画レイディングがR-18+
しかも、あの、映画がわからないと思われてるので脚本ではレイティングのつかない日本も同じ!!

何事?!と思ってたら…SEXシーンが多いのか!
血が出たり解剖のシーンもあるっちゃあるけどほんとちょっと。

あの程度の🇫🇷語ならなんとか聞き取れて自分の胸を撫で下ろしながら観てましたw

エマ・ストーン演じる見た目は大人、頭脳は胎児!のベラの演技がすごかった…エマ・ストーンてそれこそ"Super bad"の頃から知ってるけど演技のすごく上手な女優さんですよね。

役柄がどんなでもちゃんとモノにする。

梳かしてなさそうな長い黒髪、古典的なヨーロッパ王朝風のベルラインのドレス、肩から肘までの特徴的なパフスリーブ、履いてる時の履いてない時ち明確な差があるペチコートetc...そして普段のすっぴんと娼館での無茶苦茶なメイク…衣装もメイクもほんと見応えたっぷり!!
ミニスカートも出てくるしね!

特にあのパフスリーブは本当にあの時代にあったの?
てかこの話自体が歴史云々じゃなくて夢物語やから創作です!で通る話ではあるけど見事。

基本的にエマ・ストーンは誰かにどこかに閉じ込められているので限定的な空間も豪奢。
セットの分のお金と美術を全部衣装に注ぎ込みました!って感じ。

あるシーンで銃も登場するのですが、ああいう使い方する人がいちばん怖いよ…普通に暴発とか間違えて発砲とかするよ?!

エマ・ストーンの特殊なキャラクターもえっ?!って感じですが、どちらかと言うと女性の権利や社会参加が自然と描かれている点がとても好き。
人種も。

イスラエルのパレスチナ攻撃に意を唱え続けるマーク・ラファロへのRESPECTを胸に🫡


日本語字幕:松浦 美菜
Aya

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