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哀れなるものたちのtjrのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督作。
これまでのフィルモグラフィの粋を集めたかのような、圧倒的な141分。

ゴシックな世界観とファンタジックな空、生々しいゴア描写、それらを全て踏み台にした人間の精神性の極致。
これまでの作品は作家性が強すぎて難解なものばかりだったが、今作は直喩に次ぐ直喩で非常に分かりやすい。
俳優に対して“体当たりの演技”という言葉が使われるが、今作のエマ・ストーンに対して使うために生まれた言葉だったのかと思った。

“胎児の脳を瀕死の母親の頭に入れて蘇生”というギリギリアウトな設定がベースにあるからか、どんな描写もキレッキレのブラックジョークと化すという化物のような作品。
女性の成長を追う物語としても、ウーマンリブの物語としても、視覚芸術のアートとしても一級品。
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