みやもん

哀れなるものたちのみやもんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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世界への好奇心と発見の喜びを重ねて知性を身につけていく姿が、英文学好きなので『フランケン・シュタイン』のMonsterを思い出させるけど辿る道が徹底的に違うのが興味深かった。
いわば「父」であるフランケンシュタインと映画のゴッド。フランケンシュタインは自分が創り出したものの醜さに恐れおののいて、creature, thing, daemon と呼んで排除に奔走するけど、ゴッドは自分が創り出したものにBella(美しい)と名付け、父性を見せ、ベラを愛する。

一方創られた側はと言うと、外の世界を知るたびに内へと戻って自分の存在を見つめ直した時、Monsterは自分は人々が言うように怪物であると位置付けるに至り、人間に恐ろしい復讐をするMonsterになることを選ぶ。一方ベラは、自分の出自を知っても世の中の醜い部分を知ってもなお、自分の存在を自分の中に見出してベラとして向上する道を選ぶ。

ベラの知性が花開いて成長していく姿が美しくて勇ましいなぁと見終わった瞬間は感じたけど、ベラとMonsterの行く末を分けたのは強い精神か、いや、愛されたかどうかか、いや結局のところ容姿の美しさじゃないかって考えてしまったな。
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