タカシサトウ

哀れなるものたちのタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

 かなり凄かった。

 ヨルゴス・ランティモス監督作品は、初めて。全編相当グロテスクだし、性描写も多いし、変わっている。

 最初の設定からして変わっていて、ベラ(エマ・ストーン)は、自殺した女性の子どもの脳を移植されて蘇った存在として誕生。それを作り出したゴッド(ウィリアム・デフォー)も父親から、虐待まがいの実験として身体を使われていたから、こんなことも出来てしまうという設定。

 身体が大人で脳が幼児のベラが、性欲のままに行為を繰り返すさまが、グロといえばグロだし、でも、主体的に性行為をしていていくということか。そして、急速に知識を得て、社会主義に目覚めまでするのが、面白いと言えば面白い。

 また、ベラの身体の持ち主であった女性ヴィクトリアの夫を撃退するのは痛快だった。が、その夫も何かに抑圧されたから、周りの人間を虐待しまくっていたのだろう。

 ベラの存在は、男性社会で抑圧されてきた女性が、不条理の中を生き抜いて行く、というメタファーと言えなくもないし、そういう社会を皮肉ったと言えるかも。

 兎に角、最後までそういう感じで行く。

 何と言っても、エマ・ストーンが凄い、よくここまでやり切ったのではと思う。また、ウィリアム・デフォーも怪演だけれど、こういう役は彼に合っているかと。

 ヨルゴス・ランティモス監督の他の映画も、ちょっと怖いが是非見てみたい(2024.4.29)。