みちろう

哀れなるものたちのみちろうのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
マッドサイエンティストのゴッド博士(デフォー)の手によって胎児の脳を移植され蘇った見た目大人&頭脳子供のベラが今まで閉じ込められてたロンドンの家を出てヨーロッパを周る。

ヨルゴス作では籠の中の少女とロブスターしか観てなくて他は知らないけど、この2作が囚われた場所から外の世界に出ようとする物語だったのに対して今作は実際に外に出てみて何が見えたのかって話になってて繋がりを感じる。

最初は幼児のような知能でアホっぽさ全開のベラが性の喜び(!)を知ったことで徐々に世界を見開いていくのと同時に大人になっていく姿は人生や世の中の不条理なことなどについてこっちも改めて哲学っぽく考えさせられた。バービーと似た感じの形式だけどこっちはかなりぶっ飛んだやり方でゴリ押しして進んでいく。納得のR18。


今年のアカデミー賞はリリーグラッドストーンが有力候補だった中今作の演技でオスカーをかっさらってったエマストーン。ぶっちゃけマイノリティ補正が絶対かかってたリリーじゃなくて実力派のエマが受賞したのが嬉しくてどんな作品なんだろって気になってた。実際見てみるとやっぱ作品を象徴する役柄を作り上げててベラになりきりすぎたエマは全くの別人を観てるような気までしてきた。色々と演技に振り切りすぎてて逆に怖くなってくるくらい役者魂も感じる一流のパフォーマンス。

バービーもなかなかすごかったがこの映画もとにかく衣装からセットCGデザイン何から何までオシャレすぎる。ちょっとオカルトなフィクションの混ざった19世紀?ヨーロッパの世界観から始まりヨルゴスランティモスのシュールでちょっとゾクッとして笑える作風のコンビネーションが最高。文字通り最初から最後のエンディングの映像まで楽しめる。それに加えてヨルゴス映画は単純にストーリー展開が上手くて面白い。

次回作?がもう今年出るっぽくて楽しみ。こちらの原作も読んでみたいな!


クルーズ船/2号/ゲップ/魚眼レンズ/貧民/話し方も大人びてくベラ
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