ラストのセリフを含めてスマートなタッチとイメージを多用した見事な構成
フラッシュバックのようなイメージで、過去の音や映像を随所に入れ込み、それでいて説明シーンを最小限におさえ、アクションで見せてく構成は見事というほかない。(※)
ただなんといっても、個人的にはラストのボーンのセリフがクールでしびれた。
「少し休め 顔が疲れてる」
このセリフを思いついた時点で映画の50%は成功している。もちろん、本作はそれ以外も、というか全体が構成・演出が洗練されていてすごい。
映画全体で見ても、序盤はインドでのビビッドなタッチと恋人との幸せを描き、後半にいくにつれ、ベルリンとモスクワの極寒とシリアスな過去との対峙を描く、というようにトーンの変化のさせ方もうまい。脚本がよく、そして、映像的な演出のおもしろさに溢れた作品である。
(※)このあたりは、シド・フィールドの「素晴らしい映画を書くためにあなたに必要なワークブック シド・フィールドの脚本術2」の解説がくわしい。